82話 進学と就職と転勤
進学や就職などで矯正治療が中断することのないようにしましょう。
そのためには、治療開始の時期をいつにするかが重要です。
私が永久歯の治療をする場合の治療期間は1年半から2年です。
また、成長期の二段階治療の場合は治療期間、観察期間がもう少し複雑になります。
転勤や進学で居住地が変わる可能性のある人であっても、計画的な治療をすることで、一応の目安がたちますので先ずはご相談下さい。
今回は他医院からの転医の症例です。
【初診】
当院初診 19才
保護者のお仕事の都合で転居を繰り返し、当院で3施設目になります。
いずれの歯科医院も院長は矯正治療に明るく、円滑に引継ぎが行われています。
本症例は抜歯によるマルチブラケット治療の経験があり、この時はマウスピースで微調整しているとのことでした。前歯の変色は過去に、歯を強く打ったことによる歯髄壊死(しずいえし)によるものです。矯正治療には支障ありません。
転医症例の場合、前の治療を引き継ぐこともあれば、本症例のように新しい担当医の方針に切り替えることもあります。検査資料を採り現状を把握します。
私はマルチブラケット装置で治療することにしました。
【治療後】
治療期間 15ヶ月
マルチブラケット装置を外し、保定に移行しました。
普段は保定装置を付けていますが、撮影の都合上外しています。
とくに永久歯の動的治療中は、中断が無いようにしたい。進学のため親元を離れ、遠くに行く場合は注意してください。私がその様な学生を扱う場合、マルチブラケット装置を外して保定装置(リテーナー)にした上で、次の進路に送り出します。リテーナーは指示通りに使用することが絶対条件です。夏休みに帰省した時に来院してもらいます。以後も冬休み春休みと観察していきます。
私が永久歯の歯並びを治療する場合の治療期間は1年半から2年です。
遅くとも高校2年になったときには治療を始めた方が良いでしょう。
できれば、もっと余裕がほしいところです。
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