68話 口元を引っ込めたい
矯正治療をする動機は、人によって様々です。八重歯を治したい。出っ歯だ。凸凹が気になる等いろいろです。人によっては口元を引っ込めたいといった要望もあります。
【初診時】
17才 女性
それ程、歯列の凸凹はありません。
頭部エックス線規格写真など、総合的に判断すると上下顎前突症例です。
セファロ分析では、下顎前歯が平均値に比べて前方6㎜に位置していました。上顎前歯を含めて全体として口元の突出感があります。抜歯分析は抜歯判定です。
【治療後】
動的治療期間 23ヶ月
歯を抜いたスペースを利用して、上下顎前歯を後退しました。
初診と治療後の頭部エックス線規格写真を比較します。
重ね合わせ図を製作することで、歯や顎の移動の様子が見てとれます。
【頭部X線規格写真】
初診
治療後
【重ね合わせ図】
実線:初診 点線:治療後
下顎前歯は後退し平均値の位置にのりました。上顎前歯もそれに追従して後退させた結果、唇もさがりました。初診時のオトガイ部(下顎の先)の皮膚は緊張し薄く張り詰めていましたが、丸みを帯び自然な感じになり、結果として横顔がきれいになりました。
この様に重ね合わせ図は治療効果を判定するうえで、多くの情報を提供してくれます。
一方で、重ね合わせ図から治療上の反省点も見えてきます。
私自身、あの時はこうした方が良かった、この歯はこう動いてほしかった、など気づくことがあります。自分の施した治療を検証することは、たいへん勉強になり次の治療に生かすことができます。
矯正治療の目指すところは、きれいな歯並び、機能的な咬合、均整な横顔、ピカピカの自分の歯です。
矯正治療はいいですよ。