60話 大人の矯正治療
ここ最近、当医院では40才以上の女性の矯正相談が増えています。
子育てが少し落ち着いた。今まで気になってはいたけれど、矯正治療の機会がなかった。理由は人それぞれでしょうが、ようやく矯正歯科医院にたどり着きました。
矯正相談では現在の状態、治療方法、治療効果などひと通りの説明をします。矯正治療は子どもだけのものではありません。大人も積極的に矯正治療をする時代です。
【初診時】
この方は、二人の中学生をもつ主婦です。初診時の年令は36才。今まで気になっていた歯並びを、ようやく治すことにしました。
このブログでは、矯正治療上の技術的な解説はあまりしていません。装置の写真、途中経過の写真もありません。この点において、歯科関係者は物足りなさを感じるかもしれません。
装置の製作方法や針金の曲げ方、歯を移動させるテクニックなどは術者側の問題であって、患者さんにとってはどうでもいいことで、ご本人の関心事はもっぱら自分の歯・顎・顔が治るのか治らないのか、治った場合どう治るのかにあると、私は考えています。
【治療後】
治りました。私が施術するマルチブラケット治療の治療期間は、18ヶ月から24ヶ月です。
写真はマルチブラケット装置を外し、保定に移行した時のものです。撮影の都合上、保定装置を外していますが、当面の間は装着します。
歯並び・咬み合わせが悪い場合のデメリットはいろいろいわれていますが、ひとつだけ私の経験を紹介します。尚、本症例とは関係はありません。
一般歯科からの紹介で当医院に来院した成人の患者様です。拝見したところ、上下歯列の凸凹が顕著で、右下の二番目の前歯がかなり内側に傾斜していました。こういう場合、舌には歯の形に添って圧痕がありますが、その症例は潰瘍になっていました。凸凹の歯が慢性的刺激となって、舌組織を犯していったのでしょう。
解決の方法はいくつかあります。私の得意分野である矯正治療による歯並びの改善。
矯正治療をやらないのであれば、原因歯の形態修正か抜歯を提案しました。
後日、紹介元の先生に伺ったところ、抜歯を選択、その後、舌の潰瘍は消退したいうことでした。
口腔内の慢性的刺激には、歯列の不正、むし歯による歯の崩壊部、あわない入れ歯などがあります。最近では舌ピアスも挙げられると私は考えています。
いずれにせよ、歯並び・咬み合わせは治しておいた方が良さそうです。