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56話 埋伏歯 ③

最初にレントゲン写真を示します。

パッと見てどこに違和感を感じますか。

そうです。向かって左上の犬歯が引っかかって生えてこれない状態ですね(本人の右上)。

次に、同じレントゲン写真に番号を付けました。

もう一度質問します。どこに違和感を感じますか。

向かって右の犬歯がありません。先天欠如です(本人の左上)。

同時期の口腔内写真を以下に示します。













































いつも通り、検査資料を採ります。資料をきちんと分析して診断をたてます。

【マルチブラケット治療終了時】

上下に装置を付けて治療しました。














































本症例は、はじめから歯列の凸凹が少なかったので、あまり治った感じがしません。

しかしながら、見える凸凹は少ないですが、見えない凸凹が上顎骨の内にあったと考えて下さい。

【比較】

初診時


治療後












初診時の方が左右対称ですっきりしていますが、そこには見えない凸凹が隠されていることを忘れないでください。犬歯の形はとんがった頭がひとつ、一咬頭です。小臼歯は二咬頭です。犬歯の位置に小臼歯があると下顎歯列との関係、とくに顎運動時に上顎小臼歯の内側の咬頭が下顎の歯と不良に干渉する可能性があります。診査の上、必要に応じて咬合調整を行います。

矯正歯科医院では様々な症例を扱いますが、ひとつとして簡単な症例はありません。不正咬合はバランスを欠いた時に発生します。従って治療の過程はアンバランスからバランスへの道のりと言えます。到達地点は美しく機能的な歯並び・咬み合わせときれいな顔貌です。

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