41話 早過ぎてはいけない、遅過ぎてもいけない
子どもの反対咬合は、適切な時期に適切な治療をしなくてはいけません。とくに横にズレるタイプは放置することのないようにして下さい。
全ての症例は検査資料を採り、診断をして治療方針をたてます。今回は、小学3年生 男子 反対咬合症例です。
本症例の治療方針は
第一段階:上顎前歯の配列による反対咬合の改善
観 察:側方歯交換の誘導
第二段階:機能的咬合の確立
保 定:配列後の観察
治療は二段階に分けて、それぞれの時期に行います。
【第一段階】
小学3年生
反対咬合です。さらに、下顎が向かって左にズレています(本人の右)。術者はズレの原因を正確に把握しておく必要があります。それによって治療の方法が変わってきます。
第一段階の治療をはじめます。この時点の目的は反対咬合を治すことです。
【反対咬合の改善時】
2か月後の写真です。反対咬合は改善されました。この時点で顎のズレも治っています。第一段階の目的は達成されました。その後は定期的に観察します。
【観 察】
歯の生え変わりがきちんと行われているか。再び反対咬合になりはしないか。むし歯ができてはいないか。定期的に観察します。
【第二段階】
中学1年生。全ての永久歯が生えそろいました。
歯列に凸凹があります。
この時点でもう一度、検査・診断をします。
マルチブラケット治療をはじめます。
第二段階の目的は機能的咬合の確立です。
【マルチブラケット治療終了時】
動的治療期間は14ヶ月
【初診と治療後の比較】
綺麗で機能的な歯並び・咬み合わせです。第二段階の目的は達成されました。この後は保定に移行します。撮影の都合上、保定装置を外していますが普段は装着しています。
【まとめ】
本症例は反対咬合に加え、顎の側方変位を併せもっていました。もし放置したり、誤った治療をしていたなら、骨格的な顎変形症になっていたことでしょう。反対咬合の程度がつよくなるのにつれて、顔の外観はどんどん非対象になります。適切な時期に適切に治療する必要があります。
治療の時期は早過ぎてはいけない、遅過ぎてもいけない、タイミングがあります。あの人が言っていたとか、何かで聞いたことがあるなど。自分で判断しないで相談して下さい。