32話 ○○矯正とか○○○○○矯正。
近頃は、いろんな矯正治療があるようで、何とか矯正とか、ほにゃらら矯正とか。皆さん、いろいろ工夫を凝らしています。この手の矯正に共通しているのは「ハヤイ、カンタン」です。私が施術するマルチブラケット治療の治療期間は1年半から2年です。矯正治療とは、そういうものです。
では、「短期間で治る矯正治療」とはどういうものなのか。
・歯を削って、かぶせる式
・歯を削って、張り付ける式
のどちらかです。では、通常の矯正治療では何をするのか。矯正治療では凸凹の解消のため歯を削って、人工物を入れることはしません。自分自身の歯を移動させて、歯並び・咬み合わせを治します。
今回の症例です。
成人 男性、歯の凸凹を気にして、来院されました。
この症例はあなた自身または、あなたの家族だと思って、考えてください。
・向かって左上の前歯を抜いて、両隣の歯を削って三本分の歯を入れる。
・向かって右下も同様にする。まだ20歳代、今後の人生の方が長いです。
・きちんと、矯正治療をする。
あなたなら、どっち。
【初診時口腔内写真】
「短期間で治る矯正治療」は歯並びを治すため、他の歯を削ります。症例によっては、かなりの本数を削り、場合によっては神経をとる必要もあります。
・削った歯は二度と再生しない 。
・むし歯リスクが高い 。
・人工物は取り替えの可能性がある。
この点を理解しておく必要があり、あくまで一時的な処置です。矯正歯科は、自分の歯・顎の移動するので先に挙げたリスクはなく、かつ根本的な治療法と言えます。
【マルチブラケット治療終了時】
写真では、時間軸は分かりませんが、治療期間は1年半です。この不正咬合が治っていく過程はアンバランスからバランスへ、不安定から安定へと整っていく期間です。このことが、矯正治療の目的でもあります。矯正歯科の素晴らしいところは、機能的で美しい歯並び・咬み合わせ、顔貌が自分の歯・顎の移動で獲得できるということです。
長い人生の、ある期間矯正治療にあてる時間をつくって下さい。想像してみましょう。自分の歯並びが綺麗になった時のことを。