24話 顔が曲がっている。(顎偏位)
顎偏位(がくへんい)。下顎が横にズレて咬んでいる状態、顔もそれに伴って偏位しています。下顎のズレの原因は次のことが考えられます。
・骨格的な原因として、下顎の骨が変形している場合。
・機能的な原因として、歯の不良な接触で下顎が誘導される場合。
本症例は後者が原因でした。すなわち、上顎歯列が狭いことで下顎歯列と咬み合わせが調和せず、咬もうとすると横にズレるタイプでした。
症例は初診時年齢17歳、女子
【初診時口腔内写真】
上顎に対し、下顎が向かって左にズレています。(本人の右)顔もそちらに曲がっています。
【初診時マーク入り】
わかりやすくするため、同じ写真に3ヶ所マークを入れてみましょう。
正中のズレはわかりますね。臼歯部について説明します。向かって右が正常な関係、上の歯列が外側にあるのが正常です。向かって左は、上が内で下が外、逆転しています。
通法に従い、検査・診断をします。
①上顎歯列の拡大
②抜歯、マルチブラケット治療
上顎歯列の拡大をはじめます。
【上顎歯列の拡大終了時】
写真は口を開けたところではありません。これで咬んでいます。上顎歯列の拡大により、上下臼歯部の咬み合わせが変化し側方歯部、前歯部が開いてきたのです。これは想定内であり、目的をもってここまで拡大しています。マルチブラケット治療を行う前提であれば、ここまで咬み合わせが変化しても対応できます。わかりやすくするため、同じ写真に3ヶ所マークを入れます。
【上顎歯列の拡大終了時 マーク入り】
下顎が本来の位置にもどってきました。正中が一致し上下臼歯部の関係が対称的になりました。ここまでの準備をしてからマルチブラケット治療に移行します。
【マルチブラケット治療終了時】
審美的かつ機能的な歯並び・咬み合わせをつくることができました。
ここまで、振り返ってみましょう。
【初診時】
【上顎歯列の拡大】
【マルチブラケット治療終了】
顎偏位は解消され、機能的な咬合を確立しました。もうこの女性の顔は曲がっていません。左右対称でバランスのとれたとても綺麗な顔をしています。
わたしは、このブログで矯正治療の可能性についてお話しています。自分の歯を移動させることで、美しい歯並び・咬み合わせ、そして顔を手に入れることができます。差し歯などによる手法とは一線をかくします。歯並び・咬み合わせを気にしている方は、ご相談ください。