23話 反対咬合の怖い話し
タイトルの「反対咬合の怖い話し」とは何か。
実例を紹介します。今回は反対咬合が改善した後、また反対咬合になった例を取り上げます。
怖いですね。
症例は小学1年生、女子。反対咬合を気にして来院されました。
通法に従い、検査・診断をします。
本症例の反対咬合の原因は、上顎骨の劣成長と下顎骨の過成長でした。
◎初診時口腔内写真(小学1年生)
いわゆる、骨格的反対咬合症例で、横顔にも反映しており顎がしゃくれた感じです。
◎第一段階 咬み合わせの改善時(小学2年生)
咬み合わせは改善され、観察に移行します。観察中のポイントは以下のとおりです。
①むし歯、歯肉の状態
②永久歯交換の状態
③顎の成長の状態
④その他
◎観 察(小学4年生、5月撮影)
次に示す写真は観察期間中の全身成長に伴い、下顎が出てきて再び反対咬合になった時の口腔内です。
検査、再評価し、適切な処置を施します。
◎観 察(小学4年生、翌年1月撮影、正面写真なし)
再び、咬み合わせは改善されました。
その後、およそ2年観察しました。やはり、成長に伴い下顎が出てくる傾向がありましたが、次に示す写真のように下顎はギリギリ踏みとどまりました。
◎第二段階(中学1年生)
検査、再評価をして、第二段階の治療をします。第二段階の目的は機能的咬合の確立です。
診断の結果、非抜歯、マルチブラケット治療を開始しました。
◎動的処置終了時の写真(中学3年生)
マルチブラケット装置を外して保定に移行します。
今回のテーマは、「反対咬合の怖い話」でした。
反対咬合は成長にともない、悪くなる可能性があります。もし、この子が矯正治療をしていなかったら、もし、この子が誤った矯正治療をしていたら、想像してください。中学生になった頃には相当悪くなっていた事でしょう。
本症例はわたしの観察下にありました。いずれも想定内の出来事で、その都度適切な対応をしています。反対咬合を甘く見てはいけません。矯正歯科認定医の知識と技量と経験でもって管理していく必要があります。