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12話 あえて、言います。

初診時の口腔内写真。キレイな歯並び・咬み合わせです。

この成人女性は何を気にして来院したのでしょうか。 ここで問題です。気になるところはどこでしょうか。



























矯正治療には可能性があります。いちど相談を受けても良いと思います。ただし、歯科医師免許を持つ全員が矯正治療をきちんと出来るわけではありません。あえて、はっきり言いましょう。十分な知識と技術がないまま、矯正治療に手を出している歯科医師が、かなりの数いるのが現状です。


日本の歯科医師数10万人のうち、日本矯正歯科学会認定医は3,000名と全体の3%です。この低い数字は、この資格を取得するまでのハードルが高いことを意味しています。したがって、ほとんどの歯科医師は講習会やセミナーに参加しただけで不勉強のまま、矯正治療行為におよぶことになるのです。また現在の法律では、専門知識と技術の有無にかかわらず「矯正歯科」を標榜(看板に掲げる)しても違法ではありません。


このため、患者さんは未熟な歯科医師による矯正治療を受けることになるわけです。

今回のブログを書いた理由があります。歯科医師会所属の歯科医師は、公共の場で歯科検診をする機会があります。私がある施設に出向いたときのことです。口の中には、拡大装置が入っているのですが、矯正歯科学会の常識では理解できない治療が行われているのです。あえて言おう、私の感想ではこれは矯正治療ではなく暴力です。百歩譲って、未熟であっても矯正治療をやっても良い。ただし、治るならばだ。

保護者またはご本人に言います。たとえ、矯正歯科を標榜していても、見栄えのいいホームページで、きれいな治療例が載っていても、歯科医師から矯正治療を勧められても、考える時間を作ってください。自分の歯は自分で守る。自分の体は自分で守る。そして、決めるのはあなたです。

私から、ひとつだけアドバイスします。自分や自分の子供を守るために、次のことを確認してください。「先生は日本矯正歯科学会認定医ですか」このことを聞くか聞かないかで、あなたの運命が決まります。このことを聞くか聞かないかは、親の責任でもあります。

さて、今日の症例の話しにもどります。初診時写真を参照して下さい。

写真の向かって左上(本人の右上)に注目してください。乳歯の晩期残存と永久歯の埋伏(まいふく)があります。先行する犬歯は、乳犬歯です。その歯ぐきよりに少し顔を出しているのが永久歯の犬歯です。検査、診断を経て矯正治療を行います。











マルチブラケット装置を外した時の写真です。















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私は矯正歯科認定医として30年間、様々な症例を経験していますが、今でもその難しさに触れ、悩むことがあります。美しく、機能的な歯並び・咬み合わせをつくるのが私の仕事です。一方、私の今までの経験や知識が患者様の役に立つよう、また間違った情報や必要のない拡大装置で不幸な事例が少なくなるようにTwitterでも発信していきます。

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