7話 矯正用の小さなゴム
矯正治療をするうえで「歯を抜く」ことがある。というのをご存知でしょうか。
レントゲン分析、模型分析、抜歯分析などのを考慮して抜歯・非抜歯の診断をします。
抜歯・非抜歯の判定で明らかに抜歯、明らかに非抜歯というものと、ボーダーラインに あるものがあります。
わたしはボーダーラインの場合、非抜歯を選択します。
いっぽう、明らかに抜歯のものを非抜歯で治療することはありません。
なぜなら不正咬合は「バランスを欠いた状態」。抜歯をすることでバランスをととのえる必要があります。もし、抜歯をしないで無理やり非抜歯で治療したとします。もっとバランスが悪くなって、治療は成り立ちません。
今日の症例
成人、上顎の前突感を気にして来院されました。
診断の結果、非抜歯と判定、マルチブラケット治療をはじめました。
初診時の状態
マルチブラケット治療の期間は1年8ヶ月、保定に移行しました。
歯や顎を動かす力のことを「矯正力」と言います。
マルチブラケット治療の矯正力の主力は針金(ワイヤー)の弾性力です。
また必要に応じて、小さな矯正用の輪ゴム(直径5mmほど)を使用します。
本症例では、ある一定の期間、上顎の犬歯と下顎の臼歯の間をゴムで連結しました。
ゴムは取り外しが可能で、毎日新しいゴムと交換します。
上下歯列の差は、ゴムの矯正力で修正され、出っ歯の感じがなおっていきます。
矯正治療の治療期間は平均1年半から2年を想定しています。ひと月に1~2回受診し、矯正装置の調整をします。必要に応じ一定期間、小さなゴムを併用します。指示どおりに使用してください。
歯を動かした治療のあとは、歯を安定させる保定期間に移行します。治療後の写真は「保定装置」を外して撮影しています。取り外し式の装置ですが、普段は付けています。