52話 将来を予測して計画的に治す
はじめは本症例の模型、時期は初診と第一段階後です。 上顎前突症例には、前歯が出ているタイプと前歯がとび出ない代わりに咬み合わせが深くなるタイプの二種類があります。本症例は後者です。両者とも上下顎の歯列が前後的にズレているという点では共通しています。...
51話 必要のない矯正治療をする必要はない
矯正歯科業界にも様々な有料の勉強会やセミナーがあります。一般歯科の先生が矯正治療をやってみたいと思えば、そういったところを受講することになるでしょう。数回の講義を受けるだけで修了証が得られるというものです。セミナーの内容は主催者の自由な考え方に基づいているため、独自のセオリ...
50話 簡単な症例などない
たいていの歯科医師は、ワイヤーの曲げ方や装置のことを知りたがります。しかしながら、不正咬合を治すのは針金でもなく装置でもありません。正しい診断が不正咬合を治します。例えばヒトの発生や成長といった基礎的な知識を習得することは診断の精度を上げ、結果的に治療を成功に導きます。...
49話 成長期の観察には意味がある
私は大抵の場合、「歯並び・咬み合わせ」と表現しています。歯並びを治しましょうではなく、歯並び・咬み合わせを治しましょうという具合です。それは「歯並び」と「咬み合わせ」が独立して存在しているのではなく、共存していると考えるから、この二つを合わせて呼んでいます。...
48話 唇を閉じることが出来ますか。
上顎前突症例 成人 女性 【初診時側貌】 著しい上顎前突のため、唇が閉じずらいので普段は唇の隙間から前歯が見えています。 唇を閉じる時は、かなり努力して閉じることになるので、顔の皮膚は引っ張られてオトガイ部(下顎の先)にウメボシ状隆起(皮膚の凸凹)ができます。...
47話 八重歯が可愛かったのは昔のこと
八重歯が可愛いかったのは遠い昔のことで、今は積極的に矯正治療をする時代になりました。見た目が悪いだけでなく、もう一つ重要な問題があります。それは犬歯の働きです。八重歯状態にある犬歯は、ただそこにあるだけで機能していない、働いていません。犬歯の役割を説明するには、かなりの紙面...
46話 歯を抜かない矯正治療
矯正治療には二通りあります。 歯を抜く必要のない症例(非抜歯症例)と抜く必要のある症例(抜歯症例)です。前者を「抜かない矯正」として、ことさら強調しセールスポイントにしている場合がありますが、それは「抜かなくてもできる症例」であって、特別なものではありません。...
45話 歯を抜く矯正治療
はじめは矯正相談です。 自分の口・歯・顎・顔について、それまで分からなかった事が分かるようになれば安心できます。気軽に相談してください。 相談の内容は人それぞれです。 ・歯の凸凹が気になる。 ・過剰歯や欠損歯がある。 ・反対咬合、上顎前突、開咬など。 ・顔の外観が気になる。...
44話 一本の歯が引き起こす問題
一本だけ反対咬合でも、この一本の歯がいろいろな問題を引き起こしています。 このことについて説明します。まず、通法にしたがって検査・診断をします。 本症例の治療方針は以下の通りです。 第一段階:上顎前歯の配列による機能的障害の除去と反対咬合の改善 観 察:側方歯交換の誘導...
43話 過剰と不足
矯正歯科に従事していると、過剰歯、欠損歯、癒合歯、埋伏歯、形態異常など、いろいろ経験します。問題は、個々の歯の形や数にとらわれるのではなく、口腔全体としてどう調和させて、美しく整え、機能するかを考えることです。今回は、そんなお話しです。 【初診時口腔内写真】...