50話 簡単な症例などない
たいていの歯科医師は、ワイヤーの曲げ方や装置のことを知りたがります。しかしながら、不正咬合を治すのは針金でもなく装置でもありません。正しい診断が不正咬合を治します。例えばヒトの発生や成長といった基礎的な知識を習得することは診断の精度を上げ、結果的に治療を成功に導きます。...
49話 成長期の観察には意味がある
私は大抵の場合、「歯並び・咬み合わせ」と表現しています。歯並びを治しましょうではなく、歯並び・咬み合わせを治しましょうという具合です。それは「歯並び」と「咬み合わせ」が独立して存在しているのではなく、共存していると考えるから、この二つを合わせて呼んでいます。...
48話 唇を閉じることが出来ますか。
上顎前突症例 成人 女性 【初診時側貌】 著しい上顎前突のため、唇が閉じずらいので普段は唇の隙間から前歯が見えています。 唇を閉じる時は、かなり努力して閉じることになるので、顔の皮膚は引っ張られてオトガイ部(下顎の先)にウメボシ状隆起(皮膚の凸凹)ができます。...
47話 八重歯が可愛かったのは昔のこと
八重歯が可愛いかったのは遠い昔のことで、今は積極的に矯正治療をする時代になりました。見た目が悪いだけでなく、もう一つ重要な問題があります。それは犬歯の働きです。八重歯状態にある犬歯は、ただそこにあるだけで機能していない、働いていません。犬歯の役割を説明するには、かなりの紙面...